オーム電機 AudioComm RAD-P370S-W、生活の隙間で光る相棒


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このレビューの概要

オーム電機 AudioComm RAD-P370S-Wを自分で購入し、数週間ほど普段の暮らしの脇役として使い込んでみました。最初の印象は「飾らない道具」。手に取ると肩の力が抜け、必要なことだけを淡々とこなす感じが心地よい。ベランダで植物の手入れをする静かな時間、作業部屋で工具の音が止んだ合間、廊下で季節の空気を感じながら短い休憩——そんな少し外れた場面で、RAD-P370S-Wは出しゃばらず、でも置いておくと頼りになる存在でした。

選局の操作は指の動きに素直で、音は派手ではないけれど聴き疲れしにくい。ニュースの声は輪郭が崩れず、音楽なら低音が過度に膨らまないので、長く流しっぱなしにしても気分が落ち着いたままです。感度は、室内の端でも実用的に入る局が多く、アンテナの向きや置き場所を少し動かすだけで体感が変わる「余地」があるのが楽しいところ。机上ではノートやペンの間にすっと収まり、持ち出すときも片手でひょいと掴める軽さで、思い立ったときにそのまま別の部屋へ連れて行けます。

非常時の持ち出し袋を点検するときに試しに鳴らしてみても、音と情報がすぐ届く安心感があり、この用途には過不足がないと感じました。細かなところでは、ダイヤル操作の抵抗感が日によって「今日はちょうどいい」「今日はちょっと重い」と印象が変わる瞬間もあり、そこがまた道具らしい癖として愛着に転じています。総じて、生活の「間」を埋める相棒として静かに良い。派手な驚きはないけれど、毎日を少し整えてくれる、そんなラジオです。

手にして気づいたこと(日常での使い心地)

購入してからちょうど2週間ほど使ってみた感想です。最初に手に取った瞬間に感じたのは、思った以上に軽くて持ち運びが楽だということ。逆に最初に気になったのは、ボリュームダイヤルの回し始めが少し固めで、指先に力を入れないとスムーズに動かない点でした。ただ、それも数日使ううちに慣れてしまい、今では「ああ、これくらいの重さがちょうどいいかも」と思う日もあるくらいで、ほとんど気にならなくなっています。

日常の中で特に役立ったのは、夜にベランダで植物の手入れをしているとき。静かな環境で小さな音量にしても、音がはっきり届くので作業の邪魔にならず、むしろ心地よいBGMのように感じられました。朝の支度中に使ったときは、短時間でニュースを耳に入れられるので、スマホを開くよりもずっと気楽。「ちょっと情報を入れておきたいけど、画面は見たくない」というときにちょうどいい距離感です。

意外な場面では、料理中にタイマー代わりにラジオを流しておくと、時間の流れを自然に感じられて便利でした。「このコーナーが終わったら火を止めよう」といった感覚で、時計を見ずにキリをつけやすくなります。窓際に置いてラジオを流しながら書き物をしていた午後には、ふと気づくと音が途切れにくく、アンテナを少し伸ばすだけで安定して受信できているのがわかりました。集中を妨げない、安定した背景音というのは思っていた以上に大事です。

夜にベッドサイドに置いて小さな音で流すと、機械音や雑音が少なく、静かな空間に自然に溶け込むような感覚があります。小型ラジオ特有のシャリシャリした高音が耳につくことも少なく、落ち着いた声だけがそっと耳元に届く感じ。正直なところ、「小さいから音が薄いかも」と購入前は不安もありましたが、実際には低音は控えめながらも全体のバランスが良く、声の聞き取りやすさが際立っていました。

ギャップとして感じたのは、電池交換の際にカバーが少し硬く、最初は外すのに手間取ったこと。爪をひっかける位置さえつかんでしまえば問題はないのですが、最初の1〜2回は「こんなに固いのか」と驚きました。また、設置場所によっては受信感度に差が出るため、最初のうちは本体を少し動かしながら「ここならノイズが少ない」と探る作業が必要です。ただ、その調整時間すら、ラジオならではの「合わせる楽しさ」として受け止められれば、むしろ愛着につながる部分でもあります。

ボタンやダイヤルの配置はシンプルで直感的に扱えます。質感はプラスチック主体ながら安っぽさはなく、手に持ったときの軽さと表面の仕上げが程よく、日常使いに馴染みます。ダイヤルを回すときの摩擦音はわずかにありますが、使用中に気になるレベルではありません。机の上に置いたときの安定性も良好で、軽いのに倒れにくいのは安心感につながります。部屋から部屋へ片手でひょいと持ち歩きながら、そのときの気分で置き場所を変えられるのは、想像以上に快適でした。

機能と仕様の要点(スペックがどう体験に効いてくるか)

このラジオを購入した理由は、夜間の作業中に静かに音を流しておきたいという個人的な課題を解決するためでした。パソコンやスマホで音楽を流すこともできますが、通知や操作の煩わしさがどうしても気になってしまう。そこで、シンプルに電源を入れるだけで放送が聴けるラジオが欲しかった。特に深夜帯の文化放送やNHKの番組を、余計な操作なしで楽しみたいという思いが強かったのです。

開封したときの印象は「軽い」という一言に尽きます。箱から取り出した瞬間、片手で持ち上げても負担にならない重さで、持ち運びが容易だとすぐに感じました。外観は白を基調としたシンプルなデザインで、机の隅に置いても主張しすぎません。電池を入れて電源を入れるまでの流れも直感的で、説明書を細かく読む必要はほとんどありませんでした。ダイヤルを回すとすぐに周波数が合い、音が鳴り始める。その「すぐに使える」感覚が、開封から使用開始までの印象を大きく左右しました。

実際に触れてみると、チューニングダイヤルの感触は思った以上に滑らかで、細かい調整がしやすい反面、軽すぎるがゆえに指先の力加減で周波数が行き過ぎることもあります。慣れるまでは少し戻したり進めたりを繰り返す必要がありました。ボリュームのつまみは適度な抵抗感があり、音量を微調整する際に安心感があります。スピーカーからの音はサイズの割にクリアで、特に人の声が聞き取りやすい。音楽を聴くと低音は控えめですが、トーク中心の番組ではむしろその方が聞きやすいと感じました。

仕様面で良いと感じたのは、AMとFMの切り替えがスムーズで、スイッチを押すだけでモードが変わる点です。夜間はAM放送を、昼間はFMで音楽番組を、といった切り替えが自然にできます。アンテナは伸縮式で、少し角度を変えるだけで受信状態が改善することが多く、実際に触れてみて「この長さと可動域はちょうどいい」と感じました。電池駆動なのでコンセントの位置を気にせず、作業机からベランダまで持ち運んで使えるのも便利でした。

スペックが体験にどう影響したかという点では、まずサイズ感のバランスが大きいです。小型で軽量という仕様が、実際の生活の中で「置き場所を選ばない」という自由さにつながっています。机の隅、棚の上、ベッドサイド、どこに置いても邪魔になりにくい。スピーカー出力は控えめですが、深夜に使う場面ではむしろ適しており、大音量で鳴らす必要がないスタイルと相性が良いです。周囲に響きすぎない安心感は、マンション住まいでも気兼ねなく使えるポイントでした。

電池の持ちについては、数時間単位で使ってもすぐに切れることはなく、日常的に短時間ずつ使うスタイルに合っていると感じました。周波数の微妙なズレが気になるときがあるものの、ダイヤルをほんの少し動かすだけで音質が変わるため、集中して合わせる必要があります。この調整作業自体が「ラジオを操作している」という感覚を強めてくれる部分でもあり、デジタル機器では味わえないアナログ的な体験として楽しめます。スピーカーの音質も、長時間聴いていると耳に疲れにくく、高音が強すぎないバランスが効いていると感じました。

全体として、RAD-P370S-Wは「すぐに使える」「軽くて持ち運べる」「声が聞きやすい」という仕様が、実際の使用体験にしっかり直結しています。購入前に求めていた「余計な操作なしで放送を楽しむ」という課題を、素直な設計で解決してくれる一台です。

良い点・気になる点

ここまでの使用を通じて感じた、RAD-P370S-Wの魅力と課題を整理します。

良い点

  • 軽量コンパクトで、部屋から部屋へ片手で気軽に持ち運べる。
  • 白基調のシンプルなデザインで、机や棚の隅に置いても存在を主張しすぎない。
  • 電源を入れてダイヤルを回すだけの直感的な操作性で、「すぐ聴ける」手軽さが高い。
  • 人の声が聞き取りやすい素直な音質で、ニュースやトーク番組との相性が良い。
  • AM/FMの切り替えがスイッチ一つでスムーズにでき、時間帯や気分に応じた番組選びがしやすい。
  • アンテナの可動域が実用的で、少し動かすだけで受信状態を追い込める余地がある。
  • 電池駆動のため設置場所を選ばず、非常時の持ち出し用ラジオとしても安心して組み込める。

気になる点

  • ボリュームダイヤルの回し始めがやや固めで、最初のうちは指先に力を入れる必要がある。
  • チューニングダイヤルが軽めで、慣れないうちは周波数が行き過ぎやすく微調整にコツがいる。
  • 受信感度は環境や設置場所に左右されやすく、ベストポジション探しが必要になることがある。
  • 電池カバーが少し硬く、初回の開閉時は外し方に戸惑う可能性がある。
  • 超大音量で鳴らす用途には向かず、「広い空間を一台でガッツリ鳴らしたい」というニーズとはややズレる。

とはいえ、これらの気になる点は使い込むうちに「この製品の癖」として受け入れられる範囲に収まっており、致命的な弱点というよりは性格のようなものだと感じています。

まとめ

RAD-P370S-Wをしばらく使ってみて、まず感じたのは「置き場所を選ばず、存在が静かに役立つラジオ」だということです。派手さはないけれど、手に取ってすぐ聴ける。操作が直感的で、作業の流れを止めない。音は素直で、過度に強調せず、声が聞き取りやすい。その結果、長めの聴取でも耳が疲れないのが印象的でした。満足した点は、起動の速さ、ダイヤルやボタンの手触りの安心感、そして電源を入れたらちゃんと音が出るという当たり前の信頼性です。

惜しい点としては、微妙な受信感度の差が環境に左右されること、ボリュームの「もう一段だけ低く/高く」が欲しくなる場面があること、そして超軽量機と比べると「羽のように軽い」とまではいかない携帯性が挙げられます。ただ、それらは逆に言えば「必要な機能に絞ったシンプルな据え置き寄りのラジオ」として見れば納得できるバランスでもあります。

このラジオが本領を発揮するのは、非常時の情報待機よりも、例えば作業小屋で木工に没頭するときの「時間の目印としての声」、休日早朝にベランダで苗をいじる静かな時間の背景音、車中泊の準備中に地域の交通情報を軽く拾いたいとき、といった少しニッチなシーンです。そうした場面で、RAD-P370S-Wは「邪魔せず、必要なだけ寄り添う」道具として機能します。

長期的には、飽きが来ない質素なデザイン、壊れにくそうな素朴なつくり、そして「電源を入れれば実用的に聴ける」という当たり前が続くことが、買ってよかったと思える理由になっていきそうです。派手なアップデートや新機能は要らない。むしろ変わらない手触りが、道具としての信頼を少しずつ積み重ねてくれる。結論として、RAD-P370S-Wは“ラジオを手段として使う人”に向いた一台。さっと聴けて、さっと置ける。それで十分と思える時間を増やしてくれる、静かな相棒でした。

引用

https://www.ohm-electric.co.jp/

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